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雪国の人たちが、季節のうつろいを実感し、確かめる「雪形」のように、
雪国が育んできた暮らしの知恵や季節の話題を、地域に根ざした視線でお届けします。

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地域限定の味わい もっとおいしく、楽しく魚沼野菜

「魚沼といえばコシヒカリ」で終わりにしていませんか? 実は野菜もとってもおいしいんです。かぐら南蛮、魚沼巾着、糸瓜、夕顔。魚沼ならではの伝統野菜を、生産農家に訪ねました。  

新潟の食の風物詩 茄子の漬物、くじら汁に

魚沼巾着なす

明治時代に六日町で和歌山の早生なすと在来のナスが交雑してできたと言われている。栽培に手間がかかることから生産量は少なめ。ナスの中でも「煮ても良し、漬けても良し」の品種。麻婆茄子などの炒め物にも。7月くらいから秋まで収穫できる。

 

漬物でおなじみの魚沼巾着は、名前のとおり巾着型のコロンとした形が特徴。「皮がやわらかく身はしっかり。漬物はもちろん炒めても身崩れしないから、茄子が苦手な子どもにも好評です」。兼業として農業を始めて10年、昨年から魚沼巾着を作り始めた押木一也さんは、除草剤を使わず無農薬で栽培している。葉っぱには、虫の嫌がる酢酸成分を持つ地元産の発酵ハチミツを散布。「農薬は値段が上がっているし、何より人の体に入るものだから」。別の畑で育てている糸瓜や夕顔も減農薬で、化成肥料を抑えた元肥中心。野菜と雑草が混じり合う中、ゴロンと寝転んだり、棚から吊り下がり、野生的な姿を見せてくれた。「茄子は特に葉っぱに隠れて不意に見つかることも。『おいおい、こんなところに隠れやがって』とうれしくなる」。野菜を「うちの子たちと思っている」と話し、ツヤツヤの野菜にやさしく触れる押木さん。「お盆時には夕顔がすごく出る。帰省した子どもや孫にくじら汁を作ったんでしょうね」。押木さんの魚沼野菜は、地元に伝わる食文化をしっかり継承する一助となっている。

糸瓜

ウリ科でカボチャの仲間。茹でると果肉が糸のようにほぐれることからキンシウリ(金糸瓜、錦糸瓜)、 ソウメンカボチャの名も。茹でて酢の物で食べるほか、ごま油と塩でナムルにしたりマヨネーズ醤油もおすすめ。 シャキシャキとした食感が特徴。6月から8月頃まで。

夕顔(ゆうごう)

魚沼地域ではユウガオがなまって「ゆうごう」とも呼ばれる。大きなものになると50cm数キロに。 かんぴょうの原料として知られ、煮物や味噌汁にも使われるが、 魚沼地域では郷土料理であるくじら汁に欠かせない。7月から8月に収穫。

魚沼巾着と糸瓜を使った「粕漬」

今成漬物店では、押木さんが作る魚沼巾着と糸瓜、胡瓜を「山家漬」に使用。大正時代に粕漬を作り始めて以来ずっと、地元魚沼で育てられた野菜を使い続けている。魚沼巾着を使い始めたのは20年前。「品種を紹介され、漬けてみたらとてもうまみが濃くて。一昨年と昨年の茄子漬はすべて魚沼巾着です」と今成さん。「あたりまえにある雪国の保存食」を伝えていきたいと言う。錦糸瓜、越瓜、茄子、胡瓜、蕨の五種類を地元の酒八海山の酒粕に漬けた「山家漬(やまがづけ)」を販売。今成漬物店 南魚沼市六日町1848 025-772-2015 webサイト

 

かぐら南蛮を使った味噌「からいすけ」を畑から

かぐら南蛮

長岡市山古志地区で昔から栽培されてきた。とうがらしの仲間。 ピリリと爽やかな辛味を持ちながら肉厚で皮はやわらかくピーマンのような食感。 味噌にするほか焼いたり炒めたり、天ぷらもおすすめ。 最近ではパスタやピッツァなどのイタリア料理、フレンチ、ジェラート

 

ピリリの中にまろやかさ。炊き立てご飯に乗せたりおにぎりの具にしたり、冷奴や鍋物の薬味にも。「イチ押しは天ぷら。少し付けて食べるとうまいんだ」。越後湯澤の温泉宿、松泉閣花月の会長富井松一さんは2008(平成20)年、温泉通りのそば店「しんばし」の田村惠司さん、寿司店「大寿司」の上村芳実さんとタッグを組み、かぐら南蛮味噌「からいすけ」を生み出した。  こだわったのは「地元」と「無添加・無農薬」。かぐら南蛮は顔の見える町の農業法人に依頼しつつ、3人もそれぞれに畑で栽培をスタート。合わせる味噌は県産大豆を使った自家製で、味付けは料理人である田村さんが監修。「はじめのうちは自分たちで刻んでさ。手が痛くなった」がその後、機械を導入し安定的な製造に踏み出した。かつてはどの家庭で作られていた「わが家の味」が、ぐっと洗練された。 「今年は暑さでなりが小さい。でも加工するから問題ない」。青いうちに収穫したものは「緑(あお)」に、完熟してから収穫して「赤」に。前者は香り高く、後者は熟成したまろやかな味わいが特徴。それまで、かぐら南蛮味噌といえば完熟を使ったものだが、若い緑を採用したことも新たな挑戦だった。 「最近は毎朝、畑に行ってる。毎日行っても仕事があるんだもの」。富井さんも先の押木さんも、専業でなければ農業経験も浅め。しかし、だからこそ試行錯誤を楽しみ、手探りの中に実感を得て「おいしい」を届ける喜びが、くっきりと見えた。魚沼の野菜から、作り手を感じ畑を味わって。

 

かぐら南蛮を使った「からいすけ」

熟成したコクのある味わいが特徴の「赤」と香りが際立つ「緑(あお)」の2種類。いずれも、かぐら南蛮を細かく刻んで自家製味噌と酒、みりんと練り合わせ、加熱と冷却を3日間繰り返して練り上げペースト状に。クリームチーズと相性のいい「からいすけジャム」、肉や魚に塗ってつけるほかそのまま付けてもいい「からいすけ塩糀」も。越後湯沢駅構内や土産物店、「んまや」で販売。

んまやオンラインショップ

 

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「ゆきがた」は、HATAGO井仙とryugonがお届けする、雪国の知恵と過ごし方の提案です。

春、雪解けとともに山肌に現れる「雪形」から名付けました。

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