新そばの季節がやってきた。新そばとは10月から11月に収穫され、1~2カ月の間に提供される新鮮なそばのこと。香り高く、そば特有の甘みとうまみがぎゅっと詰まっているのが特徴だ。季節限定の味わいを求めて、へぎそば発祥の地と言われるそばどころ魚沼に、そば店を訪ねた。王道のへぎそばを提供する店、へぎそばの手打ちにこだわる店、へぎそばとともに多種多様な郷土料理を楽しめる店、そしてふのりとともに、珍しく山菜をつなぎに使うそばの店。。4種4様の魚沼のそばを食べ比べよう。
郷土料理とそばビュッフェ
ランチタイムには、天ぷらのほか煮物や漬物など野菜たっぷりの郷土料理が10品以上。好きなものを自分で取ってへぎそばといただく、そばビュッフェが楽しめる。使うそばはすべて地元十日町産。一部はスタッフが近くの蕎麦畑で栽培し、製造、提供までを一貫して行う。「そばの6次産業」を発信する店だ。




住:十日町市南鐙坂2132 tel:025-755-5234営:11:00~15:00 木曜定休
へぎそばで「手打ち」を貫く
「そばの持ち味を楽しんでほしい」と創業以来「手打ち」でへぎそばを提供している。「手打ち」を貫くため、そば粉8割小麦粉2割のいわゆる二八蕎麦にふのりは少し。毎朝、店内で打ち、手早く茹でてふわりと盛り付ける。ふのりたっぷりの手振りのへぎそばとは異なる趣、食感、味わいを楽しんで。

「女性が一人でも入りたくなる店」をコンセプトにリニューアルした店内。「茹で時間も洗う時間もそばを見ながら決める」と店長の田村恵一さん。おすすめは舞茸の天ぷら(小皿)1,188円とかぐらなんばんを使った湯沢オリジナルの「からいすけ」を薬味にいただく「からいすけせいろ」1,177円 住:南魚沼郡湯沢町湯沢488-1tel:025-784-2309 営:11:00~20:00 水曜定休
つるりとした喉越し「これぞへぎそば」
毎朝製麺し、自家製粉したそば粉を、ふのりだけでつないだそば粉100%のそばを県内8店舗で提供。ふのりの特徴であるつるりとした喉越し、シコシコとした歯触りが楽しめる。初代小林重太郎が、郷土料理のそばをもとに、独自に生み出した味わいを受け継ぎ、「これぞへぎそば」を守っている。



一番人気の天へぎ1人前1,958円。十日町ではワサビ代わりに使われてきたカラシを、本店ではセットで提供。織物のかせなども飾られている。住:十日町市中屋敷758-1 tel:025-768-3311 営:11:00~20:30 不定休(月に1~2回)
受け継いだ食文化とともに
地元産のそばに、つなぎはふのりのほか長野県北部でも使われているというオヤマボクチ(山ゴボウ)。2代目が大量に採って乾燥させたものを、4代目の米山俊介さん曰く「食文化を引き継ぐために」使っているという。そばや日本酒に合う山菜料理は、自分たちで山菜を採り、3代目が「昔ながらの味わい」に味付けている。




八海山尊神社の隣、八海山の登山口にある。実の中心部分を使った「ざる蕎麦(1,200円)」と皮ごと挽いた「粗挽きざる蕎麦」の2種類。山菜料理とともに。つゆには自分でクルミを入れて 住:南魚沼市大崎3742 tel:025-779-2145 営:11:00~(そばがなくなり次第終了)木曜、第2・4水曜定休
つなぎに布海苔(ふのり)を使い、へぎと呼ばれる器に盛り付けたそばのこと。板を剥いだ四角い器「へぎ」は「剥(は)ぐ」が語源とか。ふのりは織物の際、糸を張るために使われていた海藻で、取りやすく丸めた「手振り」「手繰り」の盛り方は、織物をする時の糸を撚り紡いだかせぐりから生まれたという説もある。魚沼に根づいた織物文化とそば文化が混じり合い生まれた郷土料理がへぎそばというわけだ。
