「坂戸山は、夏も秋も冬もいい。でも雪国だから、春が一番かもしれない」とガイドを務める青木きみ子さんは言う。トンネルのような長く暗い冬を抜けた春。坂戸山トレッキングの魅力は、遺構とカタクリの大群生がセットで見られることにある。「カタクリの群生地はほかにもありますが、国指定史跡とともに見られるところはなかなかないでしょう」。それは自然の産物ではない。城跡があったことから、この場所が人々によって守られ、カタクリの群生も残されたのだろうと青木さんは話す。里山らしいエピソードだ。さらに、遺構の辺りは平地になっていることから、まんべんなく日が当たり、一斉に花開くのだという。